7月 17 2025
障害年金 三年越しの申請 自閉症スペクトラム障害 2級 支給決定
障害年金の申請までに時間がかかることがあります。
そのケースとして二つのパターンがあります。
ひとつは、周りが申請した方が良い。と言っているけど、本人が申請をする気になれない。
もうひとつは、本人は申請するつもりはあるけど、医師が診断書を書いてくれない。
障害年金の申請は必須ではないですから、本人が申請をしたくないなら、申請はしなくても良いです。ですから、このパターンの場合は、本人の気持ちが変わらないと、どうにもなりません。
尚、本人の意向がないのに、勝手に申請を進めると、後々「なぜ勝手に申請したんだ?」ということにも成りかねないので、当事務所では、ご本人の意向が確認できない時は申請をしません。ただし、知的障害や脳障害などで、ご本人が将来の見通しを考えれない場合は、ご親族の意向確認で申請をさせてもらっています。
もうひとつの「医師が診断書を書いてくれない」は、書いてくれる医師を探すほかありません。
医師も人です。性格や人柄がありますから、無理強いをしてももめるだけです。
医師だから優しいのではなく、その人が優しいだけ。という認識の方が良い。と感じています。
これは、医師に限らず、全職業に通じるものかもしれません。
さて、今回の案件の方は、ご自身が申請する気になれなかったから、申請までに3年かかりました。
私には、親御さんから連絡があり、ご本人と面談させてもらいました。
そのときは、まだ二十歳を迎えたばかりで、飲食店でアルバイトができていたので、障害年金の申請なんて考えれなかったようです。
それでいいと思います。ご自身で必要性を感じないのに、申請を始めても頓挫してしまいますから。
それに、「知っておく」ということが肝心です。知っていれば、困ったときに選択する材料になり得ます。「ただ困る」と「ならば、どうしたら良いか」の選択ができるでは、その後の生活が大きく変わりますから。
この方が、本気で申請を考えるようになったのは、アルバイトの人間関係で退職を繰り返すようになってからでした。
「仕事ができないのでは?何が原因なのか?このままでは、きっと困ることになる。」そのような気持ちが芽生え、申請を本気で考えるようになり、親御さんを通じて私に再度連絡をくれました。
そして、半年前から申請の準備に入りました。
ご自身が申請をする必要性を感じてなかったので、病院に定期的に通院していませんでした。
そこで、定期的な通院が必要な理由を説明し、ご本人が納得をして定期的な通院から始めました。
診察の時に伝えるべき事を説明し、医師に自分の言葉で伝えてもらい続けました。
このように、本人の意識が変わらないと、申請は始まりません。
この方は、自閉症スペクトラム障害が診断されているだけで、知的障害はなく、寧ろIQは平均よりも高い方です。私の説明の理解は早く、抱く疑問も的確でした。
それだけに、周りからは誤解され続けていました。「解るのに、できない」訳ですから、相手からしたら「手を抜いている」ように見えてしまう。
理解が早いので、自分が求められていることはわかるから、仕事であれば「笑顔も作れるし、言葉も選べる。」でも、仕事から離れたら、必要性かがなくなったと思い「同僚などに愛想がなくなる。」だから、嫌われて孤立する。コミュニケーション能力は乏しいことが隠れてしまう。
家では、片付けられないので散々たる状況。それでも、何から手をつけたら良いかわからない。しかし、これが症状であるとは、本人は気づけていない。
これらのことを何となく気づいているのは、母親だけでした。
この辺を精査して、申立書にまとめて、診断書と共に申請しました。
結果、三年越しで申請が終わり、2級の支給決定が認められました。
ご本人は「ありがとうございました。」と一言お礼を言ってくれました。しかし、障害年金だけのお金では生きていけないことは、面談の時の説明で理解しているのでしょう。これからのことを既に考えており、これからの生活に気が重いようでもありました。
私が出来るのは、障害年金の申請をして、支給を得られるように尽力するところまでです。
そこから先は、またご自身や親族で考えていくことになるので、手放しで喜べない気持ちは理解できます。